株式会社エイチ・エーエル 杉山です。
弊社では事業再構築補助金のご支援を行っており、4次公募においても積極的に事業者様と取組んでおります。さて、その事業再構築補助金において、「根抵当権」について少し問題になっているようです。
その問題については、各々の個別事情もあると思いますので、ここでは触れませんが、そもそも「根抵当権って何?」「抵当権と何が違うの?」といった疑問を、弊社でも多くの従業員が持っているようです。
順番に行きましょう!
抵当とは
まず、どちらにも共通する「抵当」から。
これは、お金を借りる際の担保のことで、一般的には不動産が担保になるケースが多いです。
抵当権とは
次に「抵当権」。
これは、お金を借りた人が返済できないときに、担保の経済的価値(土地の価格等)から優先的に弁済を受ける権利のことです。分かり易いのが住宅ローンです。例えば1,000万円を20年ローンで組んだとします。
1,000万円を返済完了→抵当権が晴れて抹消(自由の身)
1,000万円を返済出来ず→抵当権を持つ者が(金融機関など)が
土地や建物を差し押さえて競売にかける等
根抵当権とは
その次に「根抵当権」。
これは極度額と言われる上限額までであれば、何度でも融資の契約を結ぶことができるというものです。極度額の範囲内であればいくつ融資の契約をしてもOKという事です。
例えば、会社において、毎年2月と8月は閑散期で、その時は毎年資金が必要になったとしましょう。毎回抵当権の設定をして借入すると手続きが面倒なので、根抵当権を設定し、極度額を1,000万円と仮定します。
「極度額1,000万円の範囲であれば、2月に1,000万円借りて(翌月などに1,000万円返せば)、また8月に1,000万円借りられる」といったイメージです。
そのため、根抵当権の場合、融資を完済しても根抵当権は抹消されません。抹消されたら、繰り返せないですから。
そして、抵当権は該当する債務が完済されれば自動的に消滅し、抹消登記も簡単に進められる一方で、根抵当権は少し面倒です。根抵当権の抹消登記の際には、根抵当権者が用意する書類のほか、認印や本人確認書類などが必要です。
難しいですね・・・。
でも、だいたいのイメージは持って頂けたかと思います。そして一応、一覧表にまとめてみました。
抵当権 | 根抵当権 | |
借入額 | 決まっている | 極度額の範囲であればいくらでも借りられる |
債権の特定 | 特定されている | 一定範囲であるが、特定されていない |
債権の移転 | 債権者の承諾は不要 | 債権者の承諾は必要 |
連帯責任 | 必要な事が多く、認められる | 債権額が変動するので、 基本的に認められない。 |
メリット | 別な融資先があれば自由に追加 | 設定が一度で済むため、費用が抑えられる |
デメリット | 一件ごとに設定が必要で、 時間と費用がかかる | 融資先の追加は自由に行えない |
これから住宅ローンを組む事を考えていらっしゃる方は、抵当権をまず抑えておけばいいでしょう。老後の備えを考える方は、根抵当権を抑えておきましょう。老後の話は別の機会に。
さて事業再構築補助金と根抵当権。
公募要領に、
「なお、補助事業により整備した施設等の財産に対して根抵当権の設定を行うことは認められません」
とあり、これが問題の発端となっているようですが、事業再構築補助金は、新型コロナウイルスに果敢に立ち向かう事業者を応援するものだと思いますので、公募を重ねるごとに、色んな事が洗練されて、より使い易く、より分かり易いものになれば、日本経済を支える起爆剤になると信じています。
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