事業再構築補助金(10回目)人件費と給与支給総額

事業再構築補助金

株式会社エイチ・エーエルの太田です。

今日は、事業再構築補助金の多くの枠で10回目公募からスタートした「給与支給総額」について説明をいたします。

なお、給与支給総額は補助金引上げ要件(加点要件)でも出てきますが、説明が複雑になりますので、割愛いたします。

1.事業再構築補助金 公募要領(成長枠)より

・9ページより:

事業終了後 3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること【給与総額増加要件】

・20ページより:

ア.補助事業実施期間の終了時点が含まれる事業年度の給与支給総額を基準とし、補助事業終了後の3~5年の事業計画期間中、給与支給総額を年率平均で2%(賃上げ加点を受ける事業者は3~5%。)以上増加させる計画を作成し、適切に実行いただく必要があります。応募時に賃金引上げ計画の誓約書を提出してください。また、正当な理由無く、上記の水準に達していなかった場合には、その事業者名を公表します。
「応募時点で直近の事業年度の給与支給総額」 ≦ 「基準年度の給与支給総額」である必要があります。応募以降に給与支給総額を引き下げることにより本要件を達成することは認められません。

イ.給与支給総額の確認に当たって、法人の場合は、法人事業概況説明書の提出を求め、人件費の欄に記載された金額で判断します。個人の場合は、所得税青色申告決算書(白色申告の場合、収支内訳書)の提出を求め、給与賃金、専従者給与、青色申告特別控除前又は白色申告事業専従者控除前の所得金額の欄に記載された金額の合計で判断します。

・よくあるご質問

Q4 人件費の定義は何か。

A.   本事業では、次のとおりとします。
(法人の場合)
以下の各項目の全てを含んだ総額を人件費とします。
・売上原価に含まれる労務費(福利厚生費、退職金等を含んだもの。)
・一般管理費に含まれる役員給与、従業員給与、賞与及び賞与引当金繰入れ、福利厚生費、退職金及び退職給与引当金繰入れ
・派遣労働者、短時間労働者の給与を外注費で処理した場合のその費用
ただし、これらの算出ができない場合においては、平均給与に従業員数を掛けることによって算出してください。
(個人事業主の場合)
青色申告決算書(損益計算書)上で以下の費目が人件費に該当します(丸数字は、所得税申告決算書の該当番号です)。
福利厚生費+給料賃金(⑲+⑳)
※個人事業主の付加価値額算定では、人件費の構成要素である㊳専従者給与(=ご家族の方等のお給料)および㊸青色申告特別控除前の所得金額(=事業主個人の儲け)の2項目を「人件費」に参入せずに計算します。

2.所感

(1)ものづくり補助金と事業再構築補助金では「給与支給総額」の定義が違う。

ものづくり補助金の給与支給総額は、以下のとおりです(出典:よくあるご質問)

従業員や役員に支払う給料、賃金、賞与のほか、各種手当(残業手当、休日出勤手当、職務手当、地域手当、家族(扶養)手当、住宅手当等)といった給与所得とされるものが含まれます。ただし、退職手当など、給与所得とされないものは含まれません。福利厚生費も含まれません。

つまり、

ものづくり補助金は福利厚生費や法定福利費は含まないが、事業再構築補助金は含む。

ものづくり補助金では給与支給総額と人件費は同じではないが、事業再構築補助金では給与支給総額=人件費としている

(2)ものづくり補助金と事業再構築補助金では「賃上げ表明書」の書式が違う。

ものづくり補助金では、申請時に、給与支給総額の実額と予想額を計算して、伸び率を計算する必要があります。

これに対して、事業再構築補助金の申請時に用いる賃上げ表明書は、申請時にはあくまで%のみを宣言します

(3)事業再構築補助金で必要な法人事業概況説明書において「人件費」が記載しているかどうか確認する必要がある。

私の経験上、法人事業概況説明書において、月別の売上高や仕入高を記載している事業者は多いのですが、人件費の列まで記載している事業者は少ないように思います。

なお、2023年5月12日時点において、申請マニュアルは出来ていません。申請時ではどのような書類が必要か、代替書類は必要なのか、などは申請マニュアルが出た時点で確認する必要があります。

(4)「応募時点で直近の事業年度の給与支給総額」 ≦ 「基準年度の給与支給総額」を忘れない。

基準年度に減額してその後増額するという対策を防ぐための措置です。

例えば、直近の事業年度は令和4年3月期で、基準年度(実績報告を行う年度)は令和6年3月期というケースが出てきます。この2年間の総額アップも実質的には必要になります。

(5)給与総額増額要件未達時の補助金返還ルールは「今のところ」決まっていない

ものづくり補助金では「最低賃金+30円」「年平均1.5%増」を満たさないと、補助金の一部返還を求められますが、事業再構築補助金では「正当な理由無く(上記の)水準に達していなかった場合には、その事業者名を公表」となっています。

これはこれで厳しいのですが、減額ルールは「今のところ」定まっていません。ただし「今のところ」と表現したのは、事業再構築補助金については頻繁にルール改訂があるからです。改訂内容を注視する必要があります。

何かと情報が多く、整理がたいへんですが、内容を理解して臨みたいものです。

株式会社エイチ・エーエル

 

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